戦後の日本企業は技術力や品質の高さで世界にその名を知られるようになりました。一方で近年では「パーパス経営」といったキーワードなどに代表されるように、「自社ならではの価値」の明確化に注目が集まっています。モノが飽和する現代においては、たとえ製品やサービスの品質が確かであっても、消費者に対する他社との差別化が不十分であれば、結果として競争力を失うことになります。
ブランドはともすると「デザイン」や「ロゴ」といった表面的な要素あるいはコミュニケーション施策の一つと捉えられがちです。しかし、ブランドは単なる視覚的なアイデンティティではなく、本来は企業やサービスの独自性を識別するための全ての取り組みであり、言い換えれば企業の存在価値に関する共通認識とも言えるでしょう。
そのため、ブランドを定義し、顧客にその価値を届けるといった営みは決して容易な取り組みではありません。企業は自社ならではの価値を鋭く見極めブランドとしての姿を再定義すると共に、あるべき姿を実現するためのトランスフォーメーションが求められます。