動的平衡マネジメント

DYNAMIC EQUILIBRIUM MANAGEMENT

38億年絶えることなく続いてきた生命に学ぶ、人中心の経営理論


企業経営、すなわち人と企業体の関係性に、生物学者の福岡伸一先生が提唱する動的平衡から得られる様々な原理を「経営方法論」として昇華させたものが、動的平衡マネジメントです。

※青山学院大学教授・米国ロックフェラー大学客員教授

©FUKUOKA SHINICHI OFFICE / Art Direction: TSDO Inc.

Definition

動的平衡マネジメントとは

相互主観形成による「生き方」を起点とした経営。

❶ 生命の原理の“相似形”を経営へ

企業活動もまた、生命活動の相似形であり、人が主体となる“動的平衡”によって長期的な繁栄が達成できる。
(生命≒企業、細胞≒人)
企業活動の肝となるのは、組織や機能、業務分掌などではなく、人が中心であり、社員が主である(社員や組織が固定化していると企業も衰退してしまう)
人と人の“あいだ”にある企業哲学により人が相補性を発揮し、企業として“動的平衡”な状態で継続的進化を続ける

❷ 中心にあるのは “人” であり、人と人の「相互主観」

主観を持つ“人”が企業の企業哲学を軸に集まり、互いの主観に共感することで“相互主観”が形成され、“人”が自律的かつ相補的に活動する。
この相互主観が生まれるような仕掛け・仕組みを経営に持たせ、最大限の作用を得る

Background

“動的平衡マネジメント”の考えに至った背景

生命の原理、日本人の価値観、そして長寿企業の経営。3つが重なる場所に、この思想は生まれた。

❶ 生命の原理

その中核にあるのは、38億年、途絶えることなく続いてきた「生命」である。その“仕掛け”をひも解いたのが、生物学者・福岡伸一の“動的平衡”という概念だった。生命は、頑丈だから続いたのではない——むしろ逆だ。人間がつくるものは、長持ちさせようと堅牢頑強につくる。だから壊せなくなり、環境に負荷をかける。生命はその正反対で、いつでも壊せるよう「ゆるゆる、やわやわ」にできている。そして実際に、つくることよりも壊すことにこそ、多くのエネルギーを注いでいる

壊れる前に自ら壊し、絶えず作り替え続ける。

それが、放っておけば秩序が崩れていくという宇宙の大原則(エントロピー増大)に、生命が抗ってきた方法だった。細胞は単独で機能を持つのではなく、常に細胞同士が相補性を発揮し合っている。何にでもなれる幹細胞が控え、必要に応じて分化しながら、破壊と合成をうまくつなぐ。そこに脳と末梢神経のような指揮命令系統はなく、個々の細胞が自律的に、互いを補い合いながら役割を果たす——強固な組織図も、精緻な業務分掌もなしに、38億年である。

❷ 日本人の価値観

一方で、私たちの足元にも、これと重なる物語がある。山、川(水)、海。美しい国土に育まれた日本の文化。「輪廻転生」「八百万の神(すべてのものに神が宿る)」という価値観は、自然の中で生命が生き延び続けてきた動的平衡の思想と、正しく重なる。

❸ 長寿企業の経営

そして日本は、100年以上続く企業が世界で一番多い国である。それらの企業を支えてきたのは、「軍隊的な指揮命令系統・組織機能に人をぶら下げる」欧米流のマネジメントではない。「人」や「現場」にフォーカスを当て、一人ひとりの想いや努力の赴く先に事業成長を見出す——現場主義であり、人中心の経営だった。

これら3つ——生命の原理、日本人の価値観、長寿企業の経営——を重ね、企業経営、すなわち人と企業体の関係性に当てはめる。そこから得られる様々な気づきを「経営方法論」として昇華させたもの。それが、動的平衡マネジメントである。

Comparison

欧米型マネジメント vs 動的平衡マネジメント

いままでの経営と、何が違うのか。

観点 欧米流メカニズム志向型 “人”が主である日本流経営
主(軸) 資本家・組織・機能が"主"、人は"従"。人はルール通り動くべき"駒" 企業がまとう社会的な使命に共感して主観的に「人が働く」。人が"主"、組織・機能は"従"
組織・チーム トップダウン型のガバナンスモデル(統治モデル)に基づき規定 人と人が「相互主観を形成」し、お互いに相補性を発揮する
仕事の決め方 組織機能のルールが仕事のやり方を決める 「人の主観(想い)」が仕事に創意工夫をもたらし、仕事のやり方を決めていく
組織のつくり方 トップダウンによる組織構築・機能分解=業務分掌・ワークフローを定義 経営哲学を軸とした“相互主観”の形成
人の活かし方 定義された職務分掌に対する、担当者の当てはめ “人”の主観が社会価値を創出する
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